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ごあいさつ

銑鉄鋳物製造法の変遷と生産の推移

□ 溶 解 銑鉄鋳物(鋳鉄)製造のための溶解設備としては長い間キュポラが主流でありました。キュポラは本来銑鉄の溶湯に適した炉として評価され、いろいろな工夫・改善や新たな機能などが加えられ、発達してきましたが、時代の変化と共に環境への対応や逼迫するコークス事情等に制約されて、次第に誘導炉(高周波炉や低周波炉)へその座を譲り、九州では現在僅か数基のキュポラが稼働を続けています。その他にアーク(電弧)炉を採用している例もありますが、回転炉は見当たりません。

最近では鉄鋼業界の進歩と共に様々な鋼材の高機能化が実現していますので、本来目的のために添加されている種々の特殊元素が、鋼屑を再利用する側からは鉄源の汚染要因となり、安易な再利用を妨げている場合があります。

従って、鋳造協会ではこれらの鋼屑の合理的な熔解(精錬)法について共同研究を進めています。 いずれにしても、今後の銑鉄鋳物製造業において、熔解工程は設備の組合せや新技術の導入に止まらず、経営上いろいろな見地から検討すべき事項になるでしょう。

□ 造型 型銑鉄鋳物の製造における鋳型の造型工程は大きく分けて、旧来の木型による手込めと機械化され、さらにはライン化された機械造型が(シェル中子などの別途製作も)あり、一部には消失模型鋳造法も採用している例があります。

その他精密鋳造も行われています。また、砂型の固化プロセスには古くから採用されてきたベントナイト等を主な粘結材とする生型(大物などの場合には乾燥型も)、文字通り“有機自硬性”鋳型の代表格として最も多用されているフラン樹脂による硬化プロセス、比較的歴史の浅いアルカリフェノールプロセス等が採用されています。

一方、“無機自硬性”鋳型としては簡便なCO2プロセスが長い間利用され、今も根強く残っています。これらの鋳型の原料砂としては国内産の天然けい砂が最も多用されていますが、鋳込まれる溶湯の特性との兼ね合いによってさらにSIO2純度の高い輸入けい砂が求められたり、場合によってはサイド、クロマイトサンド等(場合によっては局所的に)も採用される例があります。

さらに、今日では鋳物の品質や生産性と共に資源の3R(注:1)の観点から、破砕し難くて繰り返し使用に耐える人口砂が開発され、活用されています。
注:1 reduce, reuse, recycle


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